うさぎの歯のこと、ちゃんと知っていますか?――知らないと困る“あの小さな歯”の話
「院長、うさぎの歯について教えてください。」
うさぎを飼っている方から、よくいただく質問です。
うさぎはとてもかわいらしい顔をしていますが、その口の中には、実はとても“厄介で繊細な仕組み”が詰まっています。歯のトラブルは、うさぎの食欲不振、体重減少、よだれ、目のトラブル、慢性的な痛みの原因になることも少なくありません。
まずは、うさぎの歯の特徴からお話しします。
うさぎの歯は一生伸び続けます
これは有名な話ですね。
うさぎの歯は生涯伸び続けます。しかもそのスピードは、1週間に約2ミリ。かなりの速さです。
では、なぜ普段は問題にならないのでしょうか。
それは、上下の歯を横方向にすり合わせながら咀嚼することで、伸びた分が自然に削られているからです。牧草や野菜の繊維を噛み切る動きが、そのまま歯のメンテナンスになっています。
つまり、「ちゃんと噛めている」ことが、歯の健康の前提条件なのです。
犬歯がなく、前歯と奥歯の間に隙間がある
うさぎの歯並びはとても特殊です。
犬歯がなく、前歯(切歯)と奥歯(臼歯)の間には、大きな隙間があります。ここに食べ物を運び、奥歯で細かくすり潰します。
この構造のおかげで、横方向のすり潰しがしやすい一方で、歯並びが少しでもズレると、特定の歯だけが異常に伸びてしまうことがあります。これが「不正咬合」と呼ばれる状態です。
うさぎの口は、とても診づらい
「口が小さくて、歯が見えません。」
その通りです。うさぎの口は、あまり大きく上下に開きません。しかも、奥歯はほとんど見えません。専用の器具と、ある程度の経験がないと、状態を正確に確認することは難しいです。
そのため、飼い主さんが異常に気づいたときには、すでにかなり進行していることも少なくありません。
生後1か月で永久歯がそろいます
うさぎはとても早熟で、生後1か月ほどでほぼすべての歯が永久歯に生え変わります。つまり、私たち獣医師でさえ、うさぎの乳歯を見ることはほとんどありません。
その時点から、一生付き合う歯が決まる、ということです。
歯のトラブルは全身症状につながります
歯が伸びすぎたり、尖ったりすると、口の中を傷つけて痛みが出ます。すると食べるのがつらくなり、食欲が落ち、体重が減り、胃腸の動きが悪くなり、うっ滞や鼓腸につながることもあります。
また、奥歯の根元が伸びて、顎の骨や目の下を圧迫し、目やにや涙が止まらなくなるケースもあります。
「最近牧草を食べなくなった」
「ペレットだけ選んで食べる」
「よだれが増えた」
「口をもぐもぐ変に動かす」
「硬いものを避ける」
こうした変化は、歯の異常のサインです。
定期的な歯科チェックが大切
だからこそ、症状が出る前にチェックすることが大切です。最低でも年に1回、できれば半年に1回は歯の状態を確認することをおすすめします。特にシニア期に入ったうさぎや、過去に歯のトラブルがあった子は要注意です。
まとめ
うさぎの歯は生涯伸び続け、1週間に約2ミリ。
犬歯がなく、歯並びが少しズレるだけでトラブルになる。
生後1か月で永久歯。
口の中は見えにくく、気づいたときには進行していることも多い。
だからこそ、定期的なチェックが大切。
歯は小さな器官ですが、うさぎの健康を大きく左右します。
「食べられているか」だけでなく、「ちゃんと噛めているか」。ぜひそこにも目を向けてあげてください。それが、うさぎと長く元気に暮らすための、大切な一歩です。





















