ペットにも漢方の力を——厚木ひまわり動物病院が東洋医学を取り入れる理由
ペットにも漢方の力を——厚木ひまわり動物病院が東洋医学を取り入れる理由
こんにちは、院長です。
今回は飼い主さんからよくいただくご質問をご紹介します。
「院長、ペット用の漢方薬って実際どうなんでしょうか?」
とても良い質問です。
「漢方はなんとなく効きそうだけど根拠があるの?」という不安、よく分かります。
そこで今回は、厚木ひまわり動物病院が 漢方薬を積極的に取り入れている理由 を、分かりやすく丁寧にお話しします。
1. そもそも漢方薬って何?
漢方薬は、中国の伝統医学(中医学)をもとに、日本で独自の発展を遂げた治療法です。
薬草や樹皮、根、花などの「生薬」を組み合わせ、体の状態を整えることを目的としています。
しかし明治以降、「科学的根拠」が重視されるようになり、
日本では西洋医学(近代医学)が標準医療として扱われました。
その結果、
- 「漢方は根拠が薄い」
- 「昔ながらの民間療法では?」
というイメージが広まり、医療の世界から距離を置かれてしまった時期もあります。
でも——それは昔の話です。
2. 世界で再評価される“中医学”



近年、世界の医療現場では大きな変化が起きています。
西洋医学が得意とするのは、
- 急性病
- 感染症
- ケガ
- 手術
などの「即効性」が必要な治療。
一方、中医学(東洋医学)が得意なのは、
- 慢性病
- 体質改善
- 自律神経の調整
- 食欲・消化の不調
- シニア期のケア
といった「体全体のバランスを整える治療」。
つまり、どちらが優れているという話ではなく、
互いの“得意分野”を活かし合うことで、より良い医療が提供できる という考え方が広まっているのです。
この流れは世界的に加速していて、今では多くの国で「統合医療」として実践されるようになっています。
● 日本でも漢方が見直されている
日本の医学部では、すでに 漢方の授業が必修化 されています。
「人間の医療で必要なら、動物医療でも当然必要」というのが当院の考え方です。
3. 厚木ひまわり動物病院が“漢方”を使う理由
飼い主さんからこんな声もいただきます。
「治療の選択肢が増えるのは嬉しいですね!」
その通りです。
当院が漢方を取り入れる大きな理由は、この “選択肢の拡大” にあります。
● 1)動物の体は本来「治る力」を持っている
漢方薬は症状だけを見て薬を出すのではなく、
- その子の体質
- 環境
- 性格
- 年齢
- 病気の背景(ストレス・食生活など)
まで考えた上で処方します。
例えば同じ「食欲不振」でも、
ストレスなのか、冷えなのか、胃の疲れなのかで処方が変わります。
西洋医学の薬が“症状にピンポイントで効かせる”ものだとしたら、
漢方は“体を正常な状態に戻す手伝いをする”というイメージです。
● 2)副作用が少なく、長期ケアに向いている
シニア犬・猫や持病がある子は、西洋薬を長く続けると副作用が気になる場合があります。
漢方は比較的副作用が少ないため、慢性的な不調や高齢動物のケアにとても相性が良いです。
● 3)東洋医学は家畜にも古くから使われていた
実は、漢方薬は人間だけでなく馬・牛などの家畜にも古くから活用されてきました。
「動物に効くの?」という疑問は、歴史がしっかり答えを出してくれています。
4. “症状を治すだけでは不十分”という考え方
厚木ひまわり動物病院では、治療を次のように捉えています。
“症状が消えただけではまだ半分”
“体が本来の健康状態を取り戻すまでが治療”
たとえば、
- 慢性的な下痢が続く
- 食欲が安定しない
- シニアになって元気がない
- アレルギーがひどくなる季節がある
- なんとなく体調が波のように上下する
これらは“原因がひとつではないこと”がほとんどで、
「薬だけで治す」のは実は難しいことが多いのです。
漢方薬は、こうした 体の深い部分のアンバランス に働きかけるため、
西洋薬では届きにくい慢性不調に効果を感じるケースも少なくありません。
5. ペットの漢方薬って安全なの?


漢方薬は自然由来だから安全——
というイメージを持つ方も多いですが、正しくは 「自然でも適切な診断と処方が必要」 です。
● 当院では安全性を重視
- 獣医師が体質診断を行う
- 適切な生薬を、適切な量で処方
- 西洋薬との飲み合わせもチェック
- 効果と副作用の経過を定期的に確認
このように、安全性を最優先にしています。
“市販のペット漢方を自己判断で与える”のはおすすめしません。
漢方は「その子に合わないと逆効果」になることもあるからです。
6. 漢方薬が役立つケース(例)
- シニア期の体力低下
- 慢性的な食欲不振
- ストレスによる体調不良
- アレルギー体質の改善
- 消化器系の弱さ
- 手術後の回復サポート
- 季節ごとの体調変動
- 再発しやすい皮膚トラブル
もちろん万能ではありません。
でも、“西洋医学だけでは改善が難しいケース”で力を発揮することがあるのです。
7. 当院の目指す医療:統合的で、動物に優しい治療
当院が漢方薬を取り入れるのは、「流行だから」でも「珍しい治療をしたいから」でもありません。
- できるだけ苦しくない治療
- できるだけ薬に頼りすぎない治療
- その子の体質に寄り添った治療
- 年齢を重ねても穏やかに過ごせる治療
こうした “動物に優しい医療” を実現するため、
西洋医学と東洋医学を統合して活用しています。
8. 最後に——飼い主さんへ
漢方を取り入れる動物病院はまだ多くありません。
でも、確実に需要は増えています。
- 「薬だけに頼らず体質から整えたい」
- 「シニアのケアをもっとやさしい形でしてあげたい」
- 「慢性の不調を根本から改善したい」
そんな飼い主さんにとって、漢方は大きな味方になり得ます。
もしペットの体調でお悩みがある場合、
「漢方が合うかどうか」だけでもぜひご相談ください。
動物たちが本来の元気を取り戻し、
飼い主さんと穏やかに暮らし続けられるよう、
当院はこれからも統合的な医療を続けていきます。
必要であれば、
「どんな生薬を使うの?」
「漢方が効きやすい体質は?」
「実際の症例は?」
などの記事も作成しますので、お気軽にお申し付けくださいね。





















