フクロモモンガの説明書
フクロモモンガの疾患
消化器疾患
特徴:
① エネルギーの変換に後腸発酵を利用するため、抗生物質の使用には十分な注意が必要である。
② 不適切な食事、環境ストレス、細菌や寄生虫感染による下痢が見られる。
③ 舌を噛んでしまうなどによる外傷が見られる。
症状:
食欲不振、体重減少、下痢、便秘など(嘔吐はまれ)
診断:
検便、レントゲン、エコー検査、口腔鏡検査(鎮静、麻酔が必要)など
治療:
注射、内服薬投与、外科的処置
生殖器疾患
特徴:
① 消化器、泌尿器、生殖器のすべてが体外に出る前に総排泄腔と呼ばれる一つの腔に連絡している。
② 雌は育児嚢を持ち、育児嚢内の感染や炎症が時折見られる。
③ 雄は腹部に下垂した陰嚢をもち、一対の精巣がある。
④ 雄で総排泄腔から陰茎の脱出が戻らない場合は、自分で噛み壊してしまうことがある。
症状:
育児嚢からの臭気・分泌液・充血・舐め壊し、総排泄腔からの陰茎の脱出・舐め壊しなど
診断:
視診、触診
治療:
消毒液での洗浄、抗生物質投与、陰茎の切除手術、去勢手術、エリザベスカラーの装着、など
皮膚疾患
特徴:
① 雄は頭頂部と前胸部に臭腺を持ち、加齢とともに脱毛と被毛の黄褐色化が進む。
② 陰部や胸部に自咬症(脱毛、皮膚炎、舐め壊し)が発生しやすい。
③ コミュニケーション不足によるストレスは自咬症の一因となる。
④ 耳介や四肢端が壊死する末端壊死症がおこる(突発性、原因不明)。
症状:
脱毛、皮膚のかさつき・べたつき・発赤・腫脹・裂開、耳介・指先端の壊死脱落など
診断:
問診、視診、触診、皮膚糸状菌培養など
治療:
消毒、縫合、内服投与、エリザベスカラー装着、重篤な噛み壊しの場合は切歯切断、ストレス解消、栄養バランスの見直しなど
眼科疾患
特徴:
① 眼は顔の側面に位置し、大きく突出しているため視野は広いが、夜行性のため視覚は乏しい。
② 外傷、角膜炎、白内障などの発生が見られる。
症状:
目やに、疼痛、流涙、混濁など
診断:
視診、スリットランプ検眼
治療:
点眼、内服薬投与、エリザベスカラーの装着、外科手術など
その他の疾患
特徴:
① 雑食かつ偏食のため、栄養管理が不適切な場合に栄養失調・肥満・免疫低下・代謝性疾患(異常に痩せている、被毛粗剛、衰弱、貧血、浮腫、麻痺、ふるえ、虚脱、けいれん、便秘、活動性低下、歩行異常、骨関節の変形、病的骨折)などが見られる。
② うさぎからパスツレラ菌が感染し、細菌性肺炎を起こすことがある。