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飼い犬が他人を噛んでしまったら?―飼い主として知っておくべき責任と「狂犬病鑑定」

「うちの犬が人を噛んでしまいました。どうすればいいでしょうか…」

診察室で、震える声でそうおっしゃる飼い主様がいらっしゃいます。突然の出来事に動揺し、相手の怪我のこと、自分の責任のこと、そして愛犬の今後のことが頭をよぎり、不安でいっぱいになるのは当然です。

まず大前提としてお伝えしなければならないのは、人に怪我をさせてしまった場合、その責任は飼い主様にあるということです。法律上も、動物の管理責任は飼い主に求められています。相手の方への誠意ある対応、医療費や損害への対応など、社会的責任は非常に重いものです。

動物病院の役割:法律に基づく「狂犬病鑑定」

その一方で、動物病院としての大切な役割があります。それが「狂犬病鑑定」です。

人を咬傷した犬については、その犬が狂犬病に感染していないことを確認し、証明する必要があります。これは感情論ではなく、法律に基づく公衆衛生上の措置です。たとえ日本では長年狂犬病の発生がなく、毎年ワクチンを接種していたとしても、人を噛んだ事実があれば、正式な鑑定が求められます。

「ワクチンを打っているのに、なぜ必要なのですか?」

よくあるご質問です。確かに、適切に接種していれば狂犬病の可能性は極めて低いと言えます。しかし、万が一という事態を社会全体で防ぐために、形式的であっても確認手続きが必要なのです。獣医師は、その犬に狂犬病特有の症状がないことを一定期間観察し、証明書類を作成します。

なぜ「2週間の観察」と「3回の診察」が必要なのか

一般的には、咬傷事故発生後、約2週間の観察期間を設け、その間に最低でも3回の診察を行います。

  • 初回は事故直後の状態確認
  • 2回目は経過観察
  • 3回目は最終確認

という流れです。この期間中に、神経症状や行動の異常、食欲不振、麻痺など、狂犬病を疑う兆候が出ていないことを確認します。

この2週間という期間には医学的な意味があります。狂犬病は発症すれば急速に進行する病気であり、観察期間中に症状が出なければ、事故当時に感染していた可能性は否定できると判断されます。

つまり、「最低でも3回の受診」が必要になるのは、形式だけでなく、科学的根拠に基づいた手続きなのです。

飼い主様にとっては、「病院に3回も行かなければならないのか」と感じられるかもしれません。しかしこれは、相手の方の命と安心を守るため、そして社会全体の安全を守るための重要な責務です。

事故の背景を探り、再発を防ぐ

ここで大切なのは、事故を起こしたわんちゃんを頭ごなしに責めないことです。もちろん、咬傷事故は重大です。しかし、その背景には恐怖、痛み、過度の興奮、環境ストレスなど、さまざまな要因が隠れている場合があります。

事故後は、狂犬病鑑定だけでなく、「なぜ噛んでしまったのか」を振り返ることも重要です。触られたくない部位に痛みはなかったか。無理な状況に追い込まれていなかったか。日常的に強い不安や興奮を抱えていなかったか。

場合によっては、行動治療や環境改善、トレーニングの見直しが必要になることもあります。再発を防ぐことが、飼い主としてのもう一つの大切な責任です。

また、万が一に備えて、ペット賠償責任保険への加入も検討しておくべきでしょう。事故は「うちの子に限って」と思っていても起こります。備えがあることで、いざという時に冷静に対応できます。

最後に:未来を変えるためのサポート

咬傷事故は、飼い主様にとって精神的にも大きな負担です。しかし、適切な手続きを踏み、誠実に対応することで、信頼を回復する道はあります。そして何より、愛犬の今後を守るためにも、正しい知識を持つことが大切です。

厚木ひまわり動物病院では、狂犬病鑑定の実施だけでなく、事故後のフォローや再発防止のご相談にも応じています。叱責するためではなく、次に同じことが起こらないよう、一緒に考えるためです。

「噛んでしまった」という事実は消せません。しかし、その後の対応で、未来は大きく変わります。

飼い主の責務は重大です。だからこそ、正しく恐れ、正しく行動することが大切です。万が一のときには、慌てず、まずはご連絡ください。私たちは、法律と医学の両面から、冷静にサポートいたします。

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