うさぎを飼っていると、
「おしっこが白く濁っている」
「トイレに白い粉のようなものが残っている」
「最近、おしっこの回数が少ない気がする」
と気になることがあります。
実は、うさぎは犬や猫とは少し違ったカルシウム代謝をする動物です。
食事から摂取したカルシウムを比較的よく吸収し、体で必要としない余剰分の多くを腎臓から尿中へ排泄します。
そのため、正常なうさぎでも尿が白っぽく濁ることがあります。
これは尿中にカルシウム成分が排泄されるためで、尿が少し白いからといって、それだけで病気というわけではありません。
しかし、カルシウム成分が大量に沈殿すると、泥状の「尿砂(膀胱スラッジ)」となったり、固まって膀胱結石や尿路結石になったりすることがあります。
うさぎのおしっこを守るために、日頃から意識してほしいポイントは大きく3つあります。
1.水分をしっかりとる
まず最も大切なのが、水分摂取量を確保することです。
水分摂取量が少なくなると尿量も減り、尿中のカルシウム成分が濃くなります。
反対に、十分な水分を摂取してしっかり排尿することは、尿中のミネラルを薄め、膀胱内に沈殿物がたまりにくい環境をつくるうえで重要です。
実際にうさぎでは、水分摂取量を増やすことで尿量が増え、尿中カルシウム濃度が低下することが報告されています。
水はいつでも自由に飲めるように
新鮮な水を24時間いつでも飲めるようにしてください。
給水ボトルを使用している場合は、
「水がちゃんと出ているか」
を毎日確認することも大切です。
ボール部分が詰まってしまい、飼い主様は水を置いているつもりでも、実際には十分飲めていなかったということがあります。
給水ボトルより器から飲む方を好むうさぎもいます。
水分摂取量が少ない子では、倒れにくい陶器などの水入れを試してみるのも一つの方法です。
生野菜から水分をとる方法もあります
水だけでなく、水分を多く含む葉物野菜を適量取り入れることも、水分摂取量を増やす方法のひとつです。
研究でも、乾燥した食事だけの場合より、生の植物性食品を加えた方が総水分摂取量や尿量が増えることが示されています。
ただし、
「水分をとらせたいから野菜だけをたくさん与える」
ということではありません。
うさぎの主食はあくまで牧草です。
牧草を十分に食べながら、水と適量の葉物野菜を組み合わせることが基本になります。
2.カルシウムを摂りすぎない
2つ目は、カルシウムの過剰摂取を避けることです。
カルシウムそのものは、骨や歯を維持するために必要な大切な栄養素です。
したがって、
「結石が怖いからカルシウムをゼロにする」
という考え方は正しくありません。
問題になるのは、成長を終えた成うさぎが、必要量を大きく超えるカルシウムを長期間摂取することです。
過剰なカルシウムは尿中へ排泄されるため、尿砂や尿石形成のリスク要因になることがあります。
成うさぎでは牧草はチモシーなどのイネ科を中心に
アルファルファは栄養価が高く、カルシウムやタンパク質も豊富な牧草です。
成長期のうさぎや妊娠・授乳期などでは有用ですが、健康な成うさぎが大量に食べ続ける食事としては、カルシウム摂取量が多くなりやすくなります。
一般的な健康な成うさぎでは、
チモシー、オーチャードグラスなどのイネ科牧草を主食にする
のが基本です。
ペレットも「多ければ健康」ではありません
ペレットも同様です。
必要な栄養を効率よく摂取できる便利な食事ですが、たくさん与えればよいわけではありません。
ペレットの過剰摂取はカルシウム摂取量だけでなく、肥満や牧草摂取量の低下にもつながります。
牧草を十分に食べてもらい、ペレットは年齢、体重、体格、健康状態に合わせて適量を与えることが大切です。
特に尿砂や膀胱結石を繰り返しているうさぎでは、食事内容全体を見直す必要があります。
3.しっかり動く
3つ目は、毎日の運動です。
運動したから直接結石が溶けるわけではありません。
しかし、活動量が少なく肥満になったうさぎでは、膀胱内に尿や沈殿物がたまりやすくなると考えられています。
特に肥満すると、排尿姿勢がとりにくくなったり、お尻周りを清潔に保ちにくくなったりすることがあります。
尿砂や尿石の問題では、肥満や運動不足もリスク要因のひとつとして考える必要があります。
ケージの中だけで一日を過ごすのではなく、安全なスペースで、
- 歩く
- 走る
- 跳ねる
- 探索する
といった、うさぎ本来の行動ができる時間を毎日確保しましょう。
運動は尿路だけでなく、胃腸の動き、筋肉、関節、肥満予防にも大切です。
白いおしっこ=病気ではありません
ここは、うさぎを飼っている方にぜひ知っておいてほしいところです。
うさぎの正常な尿にはカルシウム成分が含まれるため、黄色から白っぽく濁って見えることがあります。
乾いたあとに少量の白い跡が残ることもあります。
そのため、
「尿が白いから膀胱結石だ」
とは限りません。
一方で、
- トイレに大量の白い泥状物が残る
- ザラザラした砂のようなものが出る
- 尿が非常に濃くドロドロしている
といった場合には、膀胱内に尿砂がたまっている可能性があります。正常なカルシウム沈殿と病的なスラッジとの境界は、見た目だけでは判断できないこともあります。
赤い尿も、必ずしも血尿とは限りません
うさぎのおしっこは、黄色だけでなく、オレンジ色や赤褐色になることがあります。
食物由来の色素などによって赤く見えることもあり、
「赤い尿=必ず血尿」
とは限りません。
ただし、本当の血尿との区別は見た目だけでは難しい場合があります。
特に、
- 排尿時にいきむ
- 何度もトイレへ行く
- 少量しか尿が出ない
- お尻が尿で濡れている
- 食欲が落ちている
- 痛そうに丸くなっている
といった症状があれば、尿路の病気を疑います。
こんな症状があれば早めに受診してください
膀胱結石や尿砂では、初期には分かりにくいことがあります。
しかし進行すると、
- 排尿時にいきむ
- 少量ずつ何度も排尿する
- 血尿が出る
- 尿が出にくい
- お尻や後ろ足が尿で汚れる
- 食欲が落ちる
- 元気がなくなる
などの症状がみられます。
特に、尿を出そうとしているのにほとんど出ない場合には注意が必要です。
尿道が結石などで閉塞すると、緊急性の高い状態になることがあります。
尿砂や結石は、レントゲン検査で確認できることが多く、必要に応じて超音波検査、尿検査、血液検査などを組み合わせて評価します。
うさぎのおしっこを守る3つのポイント
うさぎの尿路を守るための基本は、
1.水分をしっかりとる
2.カルシウムを過剰に摂取しない
3.毎日しっかり運動する
この3つです。
ただし、膀胱結石や尿砂はカルシウムだけで起こる病気ではありません。
水分摂取量、食事、肥満、活動量、細菌感染、体質など、さまざまな要因が関係します。
だからこそ、
「カルシウムさえ減らせば大丈夫」
ではなく、毎日の生活全体を整えることが大切です。
- しっかり牧草を食べる。
- しっかり水分をとる。
- 適度な量のペレットや野菜を食べる。
- 毎日よく動く。
- そして、おしっこの量や状態を毎日確認する。
トイレは、うさぎの健康状態を教えてくれる大切な場所です。
いつもの尿と違う。
白い泥のようなものが増えた。
排尿しづらそうにしている。
そんな小さな変化に気付いたら、早めに原因を調べてあげてください。
毎日のおしっこを見ることが、うさぎの膀胱と腎臓を守る第一歩です。