チンチラ君の説明書
チンチラの疾患
歯科疾患
特徴:
① 合計20本の歯があり、すべての歯が生涯伸び続けるため、歯科疾患は比較的多い。
② 臼歯の不正咬合、切歯の不正咬合(多くは臼歯に続発)、歯周病、齲歯が見られる。
症状:
食欲不振、体重減少、便の減少・小型化、よだれ、歯ぎしり、流涙、被毛粗剛など
診断:
口腔鏡による確認(状況により鎮静や全身麻酔が必要なこともある)、レントゲン検査
治療:
過長・齲歯部分の切削、歯肉消毒など(全身麻酔が必要)
消化器疾患
特徴:
① 嘔吐が出来ない。
② 盲腸便と硬便を交互に排泄し、盲腸便は直接肛門から摂取する。
③ 消化管うっ滞により元気食欲不振・排便量の低下などがよく見られる。
④ 不適切な抗生物質使用により腸性毒血症を起こし、軽症では下痢、重度では死亡する。
症状:
元気・食欲低下、便の小型化・軟便・下痢、排便量低下・廃絶、呼吸促迫など
診断:
レントゲン、便検査、腹部触診・視診
治療:
注射、皮下点滴、流動食注入(食欲低下時は入院管理が必要)、内服薬処方、外科手術
皮膚疾患
特徴:
① 寒くて乾燥した気候に耐えられるよう、被毛と皮脂腺が発達しており、砂浴びが必須である。
② 捕食動物から逃れるため、つかむとその部分の被毛がごっそり抜け落ちる(ファースリップ)。
③ 皮膚糸状菌症が比較的多く見られ、眼・鼻・耳など頭部から拡がる。
④ ストレス、歯科疾患、栄養不足、ホルモン不均衡、皮膚糸状菌症、過密飼育などが原因で自分の毛を抜いてしまうことがある(頭部以外)。
症状:
フケ、脱毛、紅斑、痒みは、皮膚糸状菌症など感染性皮膚炎の特徴的な症状である。
診断:
視診、試験的抗生物質投与に対する反応で評価、皮膚糸状菌培養検査が必須
治療:
内服薬投与のみ、原則的にシャンプーや外用薬は不適切、ストレス軽減、栄養管理
眼科疾患
特徴:
① 角膜面積が広く、外傷(びらん、潰瘍)を受けやすい。
② 瞳孔は縦長のスリット状
③ 白内障(先天性、高血糖、加齢など)が多く見られる
④ 砂浴びに起因する結膜炎が見られる
⑤ 歯科疾患が原因の流涙症、眼球突出など
症状:
目やに、流涙症、充血、しょぼしょぼさせる、眼球突出
診断:
視診、スリットランプ検眼、角膜染色検査、レントゲン、超音波検査
症状が流涙症のみの場合は、歯科疾患が原因の鼻涙管閉塞を疑う。
治療:
点眼薬、内服薬、カラー装着、治療中は砂浴びを禁止する
その他の疾患
特徴:
① 四肢の骨は細長く、骨を覆っている軟部組織が少ないため、膝下の骨折が多い。
② 骨皮質が薄くもろいため、粉砕・開放骨折が起きやすい。
③ 外科治療は困難で、断脚が必要なケースも多い。
④ 尾抜けの場合、皮膚は再生しないので、断尾が必要となる。
⑤ 暑さに弱く、20℃以下の飼育環境が勧められ、熱中症には十分に注意が必要
⑥ 肥満が原因の糖尿病が見られる。
⑦ アボカド中毒、鉛中毒の報告がある。