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厚木ひまわり動物病院ブログ

そのご飯、本当に足りてますか?小鳥の主食は“シードよりペレット”をおすすめする理由

こんにちは。厚木ひまわり動物病院・院長です。

今日は小鳥さんと暮らしている飼い主さんから、とてもよくいただくご質問をご紹介します。

「院長、小鳥用のご飯は何が良いのでしょうか?」

ペットショップで鳥さんをお迎えすると、
当たり前のように シード(粟・ヒエ・キビなどの混合穀物) が主食として勧められることが多いと思います。

ところが近年の研究や臨床現場の経験から、
シードだけを主食にしていると、ビタミンやミネラルが不足しやすい ことが分かってきました。

今回は、

  • なぜシード食だけでは足りないのか
  • ペレットをおすすめする理由
  • ペレットへの上手な切り替え方
  • ペレットの種類と選び方
    を、できるだけ分かりやすくお話ししていきます。

1. まだまだ根強い「シード主食」文化

小鳥の世界は、良くも悪くも“昔ながら”の情報が残りやすい世界です。

多くのショップさんでは今も、

「とりあえずこのシードをあげておけば大丈夫ですよ」

という形でシード主食が当たり前のように勧められています。

しかし、
シードはほとんどが炭水化物と脂肪で構成されており、
ビタミン・ミネラル・アミノ酸のバランスは決して十分とは言えません。

人間で例えるなら、
「一日中、お菓子と白いご飯だけで生きている」
そんなイメージに近いかもしれません。

見た目は元気そうでも、
・肝臓への負担(脂肪肝)
・免疫力の低下
・羽根の質の悪化
・卵詰まり、骨のトラブル
など、じわじわと体に負担をかけているケースが少なくありません。


2. 「野菜とボレー粉を入れておけば大丈夫?」の落とし穴

よくあるご質問がこちらです。

「シードに野菜やボレー粉(カキ殻)を入れているから大丈夫ですよね?」

とても良い工夫なのですが、
ここでひとつ大きな問題があります。

● 鳥は“好きなものだけ食べる天才”

小鳥たちはとても器用に 好きなものだけを選び取って食べる ことができます。

・シードだけ上手にほじくって食べる
・野菜を入れてもほとんど口をつけない
・ボレー粉も気が向いた時しかかじらない

これでは、
「入れているだけで実際には栄養が入っていない」
という残念な状態になってしまいます。

つまり、
“毎日、必要量をしっかり食べてくれない限り、栄養強化の意味がない” のです。


3. 栄養バランスを整えるなら「ペレット主食」が簡単で確実

そこで当院がおすすめしているのが、
ペレットを主食にする食事スタイル です。

ペレットとは、
必要な栄養素(タンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルなど)を
小鳥用にバランスよく配合して固めたフード のこと。

● ペレットの一番のメリット

「選り好みができない」=「食べるだけでバランスが整う」

シードのように“ヒマワリだけ”“粟だけ”と偏って食べることができず、
どの粒を食べてもほぼ同じ栄養が摂れる というのが最大の利点です。

結果として、
・肝臓や腎臓への負担が減る
・羽根の質が良くなる
・病気のリスクが下がる
・シニア期の体調が安定しやすい

など、小鳥の一生を通した健康に大きく貢献します。


4. 「うちの子、ペレットは食べてくれないんです…」への対処法

これも本当によく聞くお悩みです。

「ペレットをあげてみたけど、まったく食べてくれませんでした」

はい、シードが大好きな鳥さんは本当に多いです。
いきなりシードをやめてペレットだけにすると、
「こんなのご飯じゃない!」とばかりに断固拒否されることも…。

● ペレット切り替えのコツは「時間をかけること」

ペレットへの切り替えは、 “数週間〜数ヶ月単位のプロジェクト” と考えてください。

こんな工夫がおすすめです

  • 床に撒いてみる
    → 野生の「つい拾って食べちゃう」本能を利用します。
  • 手から与える
    → 飼い主さんの手からだと“特別なおやつ”だと感じてくれる子も多いです。
  • 飼い主さんが食べるフリをする
    → 「飼い主さんが食べている=安全でおいしいもの」と認識して興味を持つことがあります。
  • 最初はシードに少量混ぜる
    → いきなり全量を切り替えず、徐々にペレットの割合を増やしていきます。

大切なのは、
焦らないこと・絶食させないこと・根気よく続けること。

「今日からペレットだけね!」ではなく、

「半年かけてゆっくり慣れてもらおう」
くらいの気持ちで取り組んであげてください。


5. ペレットにもいろいろな“タイプ”があります

「ペレットって、どれも同じに見えるけど、どう選べば良いんですか?」

実はペレットには、
製造方法の違いによる2つのタイプ があります。

① エクストルーダータイプ(加熱・加圧タイプ)

例:ズプリーム、ハリソン など

  • 原料を 加熱・加圧して成形 したペレット
  • 消化が早く、胃腸への負担が少ない
  • その一方で、腹持ちはやや悪い 傾向があります

若くて活動量の多い子や、
消化吸収が良い子には向いているタイプです。

② コールドプレスタイプ(非加熱タイプ)

例:ラウディブッシュ など

  • 非加熱のコールドプレス製法 で成形されたペレット
  • 消化スピードはゆっくり
  • その分 腹持ちが良く、少量でも満足しやすい

肥満が気になる子や、
一度にたくさん食べてしまうタイプの子に向いていることが多いです。


6. ペレットの選び方のポイント

ペレットはメーカーやシリーズによって、
栄養バランスや粒の大きさが細かく違います。

● 選ぶ際のチェックポイント

  • 消化速度(早い/ゆっくり)
    → 体質や年齢によって向き不向きが変わります。
  • 栄養素の割合
    → タンパク質・脂肪・カルシウム・ビタミンなどのバランス。
    肥満・肝臓病・腎臓病などがある場合には特に重要です。
  • 粒の大きさ・形
    → セキセイインコ、文鳥、オカメインコなど、
    種類や好みによって食べやすいサイズが違います。
  • 病気の治療用の特別食
    → 肝臓病用、腎臓ケア用、ダイエット用など、
    治療の一環として使えるペレット もあります。

● 一番大事なのは「主治医と相談すること」

「ネットの口コミが良かったから」
「ショップで勧められたから」

だけで選ぶのではなく、
その子の体質・年齢・既往歴をよく知る主治医と相談しながら 決めていくのがおすすめです。


7. まとめ:ご飯は“毎日の投薬”と同じくらい大切です

◎ シード主食は栄養が偏りやすい
◎ 野菜やボレー粉を入れても、ちゃんと食べなければ意味がない
◎ 栄養バランスを整えるには、 ペレット主食が簡単で確実
◎ ペレットへの切り替えには 時間と工夫が必須
◎ ペレットには
 ・加熱タイプ(ズプリーム、ハリソンなど)
 ・コールドプレスタイプ(ラウディブッシュなど)
 があり、消化速度と腹持ちが違う
◎ 栄養バランス・粒の大きさ・体質・病気に応じて選べる
主治医とよく相談しながら、その子に合うご飯を選ぶことが大切


小鳥さんの食事は、
「毎日少しずつ体をつくっていくお薬」 のようなものです。

今元気だからこそ、
将来の病気を減らすために“ご飯の見直し”をしてあげませんか?

「うちの子に合うペレットは?」
「今のご飯で栄養は足りている?」
「ペレットへの切り替え方をもっと詳しく知りたい」

など、ご飯に関するご相談も、どうぞ遠慮なくお話しください。
小鳥さんがずっと元気でいられるよう、
私たちも一緒にバードライフをサポートしていきます。