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厚木ひまわり動物病院ブログ

その薬、本当に大丈夫?——ネット購入の動物用医薬品に潜む危険と、当院が警告する理由

こんにちは。厚木ひまわり動物病院です。
今回は、飼い主さんからいただく機会が増えてきた、とても大事な質問について詳しくお話しします。

「院長、病院で処方している薬をネットで買う飼い主さんがいらっしゃいますが、大丈夫なのでしょうか?」

一見、同じパッケージで同じ名前の薬。
「病院より安く買えるなら」と思う気持ち——よく分かります。
しかし結論から言うと、ネット購入の動物用医薬品には大きなリスクがあります。

この記事では、その理由を分かりやすく、じっくりお伝えしていきます。


1. ネットで買える薬、本物かどうかは分からない

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近年、ネット上には動物用医薬品が数多く出回っています。
その中には“本物らしく見える”商品も多く、
パッケージや薬名も正規品とほぼ同じものが売られています。

しかし院長として正直に申し上げると——

表記が外国語のパッケージは、私でも本物かどうか判断できません。

つまり、獣医師ですら真偽を確認できない精巧な偽物が市場に流れています。

● 偽物が怖い理由

  • 成分が表示と違う
  • 有効成分が極端に少ない
  • 危険な添加物が含まれている
  • 製造過程が不衛生
  • 正規の品質管理がされていない

これらはすべて、ペットの体にとって 深刻な危険 をもたらします。

「安いし同じ見た目だから」と使ってしまい、
気づかないうちに毒を与えているのと同じ状況になることも……。


2. 動物用医薬品には“処方責任”がある

動物病院で扱う薬の多くは、
獣医師が診察し、状態を確認した上で初めて処方できる薬 です。

病気や体質に合わせた用量調整、
投薬期間の設定、副作用のチェック——
これらをすべて含めて“処方”なのです。

そのため当院では、

ネットで購入された薬の使い方に関するご相談はお受けできません。

理由はただひとつ。
責任が持てないからです。

もし偽物であったり、品質が劣っていたり、
あるいは成分量が違っていたら——
副作用が出ても適切な対処が難しくなります。

治療に必要な薬は必ず
“診察を受けたうえで適切なものを”
とお願いしています。


3. 「海外製なら正規品だから大丈夫?」いいえ、要注意です

飼い主さんの中には、

「海外の正規品が安く手に入ることもあるのでは?」

という方もいます。
確かに海外で普通に流通している薬も存在します。

しかし、ここで1つ知っておいていただきたい事実があります。

● 現在、世界的なインフレで海外の薬は“本来高い”

輸送費・原材料費が上がっているため、
海外正規品が日本より安いケースはほとんどありません。

ということは……

異常に安い海外医薬品は“偽物である可能性が高い”ということ。

「本物と信じて買ったのに偽物だった」
「中身がまったく違う薬だった」
こうした事例は世界中で報告されています。

大切なペットの身体に使う以上、
“価格の安さ”を理由に選ぶのはあまりにも危険です。


4. 偽薬による実際のリスクとは?

偽物の薬にはさまざまなタイプがあります。
ここではよくある誤使用による危険性を解説します。

● 成分が不足していて“治療できない”

効果が出ず、病気が悪化するケース。

● 成分量が多すぎて“中毒”を引き起こす

犬や猫はごくわずかな成分差で中毒を起こすことがあります。

● 全く違う薬が入っている

本来の病気とは関係ない薬を飲ませ続けることになり、症状が悪化します。

● 保存状態が悪い(高温・湿気)

薬は非常に繊細で、不適切な保管で劣化します。
ネット購入では保管方法の保証がありません。

● 不衛生な工場で製造

粉に異物混入、カビ、細菌汚染のリスクも報告されています。

安いからといって、
こうした、“得体の知れない危険” をペットに与えるのは、
健康を守るはずの薬が逆に 命を脅かす結果 になりかねません。


5. 動物病院で処方された薬を使うメリット

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では、動物病院処方の薬にはどんな利点があるのでしょうか?

● 正規ルートで仕入れた“確実な本物”

厚生労働省・農林水産省の管理下で、
品質保証された薬のみを取り扱っています。

● 病気・体質に合った投薬量

動物の種類・年齢・体重・病気の進行に合わせ、
最も効果が得られる量・期間を獣医師が判断します。

● 副作用が出た時のフォロー

薬の効果、体調の変化を獣医師が継続的にチェックできます。

● 投薬方法の指導が受けられる

飲ませ方、注意すべき症状、併用薬の危険性など、
専門的な説明を受けられます。

つまり——
正しい薬を、正しい方法で、安全に使える
これが動物病院で処方薬を受け取る最大のメリットです。


6. “自己責任”では済まないのがペット医療です

ネット購入では、「使用は自己責任」という言葉がよく添えられています。
しかし、ペットは自分で

  • 痛い
  • 苦しい
  • 気持ち悪い
  • 変だ

を伝えることができません。

つまり “責任を負うのは飼い主さんだけ” ではなく、
最終的には ペット自身が危険を背負うことになる のです。

私たち獣医師は、
“よかれと思って選んだ薬が、その子の命を危険にさらす”
そんな場面を何度も見てきました。

だからこそ、強く言います。

大切な家族に使う薬は、必ず動物病院で処方されたものを使ってください。


7. 最後に——ペットを守れるのは、正しい選択だけ

ネット販売される医薬品の中には、
確かに正規品もあるかもしれません。

しかし、
偽物かどうか、品質が保たれているか、動物に合う薬なのか——
これらを飼い主さん個人で判断するのは不可能です。

今の時代、偽物は本当に精巧です。
パッケージが本物そっくりでも、
中身がまったく別物、というケースは珍しくありません。

健康のために薬を使っているのに、
それが命を削る結果になってしまっては本末転倒です。


◎ まとめ

  • ネットの薬は本物かどうか獣医師でも判断できない
  • 異常に安い薬は“偽物の可能性大”
  • 当院ではネット薬の相談には応じられない
  • 薬の安全性・効果・正しい飲ませ方は“処方責任”のもとで成り立つ
  • ペットのために、必ず動物病院で処方された薬を使用することが重要

ご質問や不安な点があれば、いつでもご相談ください。
ペットたちが安心して治療を受けられるよう、私たちは全力でサポートします。

「うちの子に合った薬かどうか」「この薬の量で大丈夫?」など、
どんなことでも遠慮なくお聞きくださいね。