“小鳥はすぐ死ぬ”は本当です——迷ったときに大切な、小鳥と動物病院の正しい付き合い方
こんにちは。厚木ひまわり動物病院です。
今回は、小鳥の飼い主さんからよくいただく不安や悩みにお答えする内容です。
「院長、小鳥専門の病院は遠いので、近所の動物病院でも行くべきですか?」
小鳥は犬や猫に比べて体が極端に小さく、病気が表に出にくい動物です。
そのため、“どこに連れて行くべきか”という判断が命に直結することが非常に多いのが現実です。
この記事では、
- 小鳥の診療が難しい理由
- どのタイミングで動物病院へ行くべきか
- 入院が必要になるケース
- 病院選びで知っておくべきこと
- 日頃からつくるべき獣医師との信頼関係
を、分かりやすく丁寧に解説します。
1. 小鳥専門医が近くにいない場合…近所の病院でも受診すべき?
結論から言うと、
緊急の場合は、専門でなくても“小鳥を診られる病院”に行くべきです。
しかし、ここでとても重要なポイントがあります。
● 動物病院の中には「診察のみ」しかできない病院がある
- 入院設備がない
- 小鳥の24時間管理ができない
- 酸素室や加温装置がない
このような病院では、
診察を受けても入院治療が必要なレベルの重症には対応できません。
そのため、
事前に“入院可能かどうか”を確認しておくことがとても大切です。
2. 「入院なんて大げさ…」は小鳥医療では通用しない
最初に驚かれる飼い主さんが多いのが、このポイントです。
「えっ、小鳥ってそんなに簡単に入院になるの?」
はい、なります。
むしろ “入院させないと助からない”ケースが非常に多いのです。
● 小鳥の入院が必要になる主な症状
- 呼吸が荒い・尾羽が上下する(尾羽呼吸)
- 食欲がない
- うんちがほとんど出ていない
- お尻から赤いものが出ている
- 卵が出ない(卵詰まり)
- ぐったりして止まり木に止まれない
- 羽を膨らませてじっとしている
これらはすべて、
“急死してもおかしくない状態” です。
小鳥の体は非常に小さく、
体力のストックがほとんどありません。
犬猫なら半日様子を見る状態でも、
小鳥は1〜2時間で急変することが珍しくありません。
診察だけして帰宅……ではなく、
すぐに入院管理する必要があるのです。
3. 診察だけでは助けられない——入院治療の重要性
小鳥の重症治療で特に重要なのは、
“環境を整えた入院管理” です。
● 入院が必要な理由
小鳥は以下のサポートが必要になることがあります:
- 酸素濃度の管理
- 温度の管理
- 湿度の管理
- 点滴・強制給餌
- 卵詰まりの処置
- 呼吸状態の常時チェック
- 投薬の頻回投与
これらは自宅では不可能です。
また、小鳥はストレスや体調変化が早いため、
常時観察が必須となります。
診察のみの病院では、
こうした管理ができないため、
せっかく受診しても治療が途中で途切れ、手遅れになることがあります。
4. 小鳥の飼い主さんには“心の準備”が必要です
● 小鳥は病気を隠す動物
飼い主さんが異変に気づいた時点で、
すでにかなり悪化しているケースがほとんどです。
そのため、獣医師から
- 「入院が必要です」
- 「すぐ預かります」
- 「このままだと危険です」
と言われて驚かれる方も多いのですが、
これは決して大げさではありません。
むしろ、
“少しの迷い”が命取りになることが非常に多いのです。
5. 飼い主さんが入院をためらう理由…そしてその危険
● 入院を躊躇する主な理由
- 費用が心配
- 入院中に亡くなるのが怖い
- 家で看てあげたい
- 小鳥が病院でストレスを受けるか心配
- “入院=末期”というイメージがある
どれも気持ちはよく分かります。
しかし、小鳥医療では避けられない現実がひとつあります。
「渋っている時間でさえ、状態は悪化する」
特に卵詰まりや呼吸器症状は、
1時間単位で命に関わります。
少し調子が戻ったように見えるのも、
実は“最後の踏ん張り”ということがあります。
だからこそ、
「入院が必要と言われたら、迷わず預けてほしい」
というお願いを、私たち獣医師は強く伝えています。
6. 日頃から作っておくべき“信頼関係”
いざ入院と言われたときに迷ってしまう理由の多くは、
- 病院が信頼できていない
- 先生の説明が理解しきれていない
- 小鳥専門でないから不安
- 本当に必要なの?と疑ってしまう
といった「情報不足」や「不安感」です。
そのため、小鳥の飼い主さんには特に、
◎ かかりつけ医を作る
◎ 定期的に健康診断を受ける
◎ 小さな症状でも相談する
◎ 普段から先生と話しておく
これらを強くおすすめします。
信頼関係ができていると、
緊急時に迷わず治療を任せることができます。
小鳥の命を救うためには、
“飼い主さんが素早く決断できる状態” を作っておくことがとても重要なのです。
7. まとめ:小鳥の命を守るために、今日からできること
- 小鳥専門医が遠くても、近所の“診られる病院”を確保しておく
- 入院設備の有無を事前に確認しておく
- 呼吸・食欲・うんち・卵詰まりはすべて“緊急”
- 診察だけでは助からない。入院管理が必要な病気が多い
- 小鳥は急変しやすく、数時間の遅れが致命傷になる
- 入院は怖くても必要な医療
- 普段から獣医師との信頼関係を築いておくことが最大の備え
最後に
小鳥は、小さな身体に精一杯の命を宿して生きています。
その命を守るためには、
飼い主さんと獣医師が“同じ方向を見ること”が何より重要です。
「専門病院まで遠いから…」
「入院させるのはかわいそう…」
そんな迷いや不安があったとしても、
私たちは飼い主さんと一緒に、小鳥の命を守る最善の選択をしていきたいと思っています。
もし、
「どこをかかりつけにすればいいか分からない」
「うちの子の症状は受診すべき?」
などの相談があれば、どうぞ気軽にご相談ください。
小鳥たちが、これからも健やかに、そして長く暮らしていけるよう、
私たちは全力でサポートします。





















